2,「箝口令をひく・箝口令をしく」、正しい言い方は、どっち?
(1) 箝口令(かんこうれい)をひく (2) 箝口令(かんこうれい)をしく 正解は「箝口令をしく」。命令によって、一定の事柄についての発言を禁じる意。「しく」は漢字で書けば、「敷く」または「布く」。この「敷く」は、「鉄道を敷く」などと使う「敷く」の抽象化した言い方で、『明鏡国語辞典』によれば、〈命令や政治の体制を築く。また、それを築いて広く行き渡らせる〉意。「軍政を~」「戦時[協力・独裁・緊急]体制を~」の場合も「引く」ではなく、「敷く」である。アナウンサーで、これを間違えて言う人がいて、気になっている。 7,「囁く」の、正しい読みは、どれ? (1) うなずく (2) つぶやく (3) ささやく 正解は「ささやく」。字の形からも、耳に口を寄せて話すさまがうかがわれる。「つぶやく」は「呟く」。「呟」は本来は「たぶらかす」意で、これを「つぶやく」の意に使うのは、日本独自の用法だという。形の似た「咳」は、「咳き込む」「咳払い」などと使う「せき」。別字である。「うなずく」は「頷く」「肯く」と書くほか、「肯定く」「点頭く」などと当てる。 「囁く」には、こんな言葉もあります。 囁き千里 こそこそ三里 10,「口を荒らげて詰め寄る」などと使う「荒らげる」、標準的な読みは、どっち? (1) あらげる (2) あららげる 正解は「あららげる」。「あらげる」は、「あららげる」から出た語で、もとは誤用とされたが、今は〈俗用〉あるいは〈慣用〉とされることが多い。「あらげる」「あららげる」は、送り仮名も厄介で、内閣告示「送り仮名の付け方」によると、「荒い」に対応させて「荒げる」「荒らげる」と送るのが正しい送り方。「荒れる」に対応させて、「荒らげる」「荒ららげる」と送ると誤りになる。注意したい。 11,料理店の看板などに見る「活魚料理」。「活魚」の、最も正統的な言い方は、どれ? (1) いきうお 料理 (2) いけうお 料理 (3) かつぎょ 料理 (2) (2)の「いけうお」が正解。「いけ」は〈生かしておく〉意の動詞「生ける」から来た。「生け簀(す)」「生け捕り」の「いけ」と同じだが、古い意味用法のため、今では意味が分かりにくくなった。そのうえ、送り仮名をつけないで、しかも「生」ではなく「活」を使って、「活魚」を「いけうお」と読ませるのは、いかにも難読。「いきうお」の「いき」は「生きる」から来たもの。「活魚(いけうお)」に代わって、その親しみやすい、新しい言い方となって、ネットでは、今や「いきうお」が「いけうお」を圧倒する。そのものずばり、音読しただけで、読みやすさが売りの「活魚(かつぎょ)料理」も、近年ますます盛ん。正統派の「いけうお」は、少し肩身が狭い。 20,次の、敬語を表す語(下線)のうち、美化語として使われているのは、どれ? (1) 先生、お酒はいかがでしょう? (2) では、早速ご説明いたします。 (3) 先生、お荷物をお持ちしましょう。 (1) 正解は「お酒」。美化語は物事を美化して述べるもので、直接に相手を高めたり、自分を低め(ることによって相手を高め)たり、丁寧に言おうとしたりはしない。一般の敬語(尊敬語・謙譲語・丁寧語)とは性質を異にするが、相手などに配慮して述べるときに現れやすいことから、最近ではこれを敬語の一種と見るようになった。(2)の「ご説明」は謙譲語、(3)の「お荷物」は尊敬語である。 21,手紙で相手をうやまって、その氏名につける「殿」と「様」、敬意が高いのは、どっち? (1) 殿 (2) 様 (2) 正解は「様」。人名に付く「殿(どの)」は、室町期に敬意が薄れて、江戸期には多く「様」が使われるようになった。今でも、目上はもちろん、対等、目下の相手にも「鈴木太郎様」のように「様」を使うのが一般的。「殿」は、「鈴木太郎総務部長殿」のように、氏名+役職名に添えて事務的な敬意を表すことができるが、この形式は古く、しかも二重敬語だという印象があるかもしれない(難しいところだ)。今は「総務部長 鈴木太郎様」が一般的だし、無難だろう。また、社内文書などで「鈴木太郎殿」として、軽い敬意を添えることができるが、見下しているとの印象もあって、これも衰退傾向にある。世の中は「様」で統一する方向に向かっているのだろう。「殿」は、私的な文書で目上に使うと失礼に当たるので注意したい。 22,同好会の会長が各会員に出した文書、その「各位」の使い方で、一般に正しいとされるものは、どれ? (1) 会員各位 (2) 会員各位殿 (3) 会員各位御中 (1) 正解は「会員各位」。「各位」は、字面から見ると、敬称のようには見えないが、辞書には〈多くの人々を対象として、その一人一人を敬っていう語〉などとあり、押しも押されもしない敬称。意味のうえでは「皆様」よりは「おのおの方」に近い。(2)の敬称+「殿」は、二重敬語で失格。(3)の「御中」は、「同好会御中」のように、団体名に付ける敬称。個人宛てに使うのは誤りである。なお、「各位」は、対象名を省いて、単独で「各位」と使うこともできる。この場合は「関係者各位」の意である。 25,「采配(さいはい)を{振る・振るう}」、本来的な言い方は、どっち? (1) 振る (2) 振るう 正解は「采配を振る」。「采配」とは、「昔、戦場で大将が士卒を指揮するために用いた道具。厚紙を細長く切って作ったふさに、柄をつけたもの(明鏡国語辞典)」。「采配を振る」とは、それを使って、戦場で指揮をとる意。転じて、一般に団体や組織の指揮をとる意。「采配をとる」とも言う。「采配」が、刀・槍(やり)などの武器ならば、「采配を振るう」(または「采配を揮う」)だが、武器ではない采配の場合は軍配や指揮棒と同じ感覚で、「振る」と言うべきだろう。しかし、現実には、かなり以前から「采配を振るう」も結構多く使われている。〈俗用〉といったところか。 26,後悔する意を表す慣用表現「ほぞを噛(か)む」の、「ほぞ」とは? (1) 臍(へそ) 1 (2) 爪(つめ) (3) 舌(した) (4) 唇(くちびる) (5) 苦虫(にがむし) 「ほぞ」は、へその意の古語。「ほぞを食う」「ほぞを食らう」とも言い、後悔する意で、「ほぞをかむ思いを味わう」などと使う。自分で自分のへそをかもうとしても及ばないように、後悔しても間に合わないことから言うのであろう。今では慣用句でしか使わないので、「ほぞをかむ=後悔する」「ほぞを固める=決心する」などと、句全体で理解していても、「ほぞ」単独の意味となると、やや難しくなるだろう。 27,そぶりにも見せない意を表す慣用表現「おくびにも出さない」の、「おくび」とは? (1) 尾首(しっぽと首) (2) あくび (3) げっぷ (4) おなら (5) 汗(あせ) (3) 「おくび」とは、胃の中にたまったガスが口外にでるもの、すなわち、げっぷ。「おくびにも出さない」「おくびにも見せない」などの形で使うほか、まれに「栄二はおくびをし、そのおくびの酒臭いのに自分で顔をしかめた(山本周五郎)」などのように、単独で使うこともある。
by tianshu
| 2007-02-11 01:22
| どこでもお勉強
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