カテゴリ:名文からの一日一句( 11 )

五木寛之の「他力」から

21 五木寛之の「他力」からーー「非常時」を生き抜く

  ・・・・・・私達が今目の前にしている世界は、国家と社会の危機だけではありません。私達は、誰もが、「精神的、または心理的に重大な危機」に直面しているという実感を抱いて生きているはずですから。「透明な存在である自分」という言葉に衝撃を覚えるのは、自分の命そのものの確かな質量感、手ごたえを私達が失い掛けているからだと言えるかもしれません。
  自殺、離婚、自己破産、失業、犯罪、汚職、そう言った事件の右肩上りの増加ぶりは、現在が私たちの「魂の非常時」であることをはっきりと示しています。つまり私たちは今、外側からも、内側からも正に二重の「非常時」に直面しているというべきかもしれません。
  ・・・・・・
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by tianshu | 2006-07-27 01:24 | 名文からの一日一句

五木寛之の「他力」から

20 五木寛之の「他力」からーービジネスの背景にある「お陰」

  ・・・・・・城山さんによると、倫理観のバックボーンは二つあったそうです。一つは侍の士魂もう一つは儒教国家だったということです。ところが、戦前からの天皇信仰によって儒教的なものが中断されてしまう。そして、戦後になると、戦前から儒教的なモラルを伝えてきた人々が次第にいなくなり、士魂についても戦争中に懲りたため、今は精神的なものはすっかりなくなった。
  そして今は、ただ儲ければいい、ということになってしまっている。おまけに政府までが、やれ所得倍増だ、列島改造だと囃(はや)すため、ブレーキはまったく利かなくなっているということです。
  ・・・・・・

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倫理観のバックボーン・・・伦理观的主心骨
儒教的なモラル・・・儒教上的道德观念

倫理観のバックボーンは二つあったそうです--伦理观主要由两个部分组成
一つは侍の士魂、もう一つは儒教国家・・・一个是武士精神,另一个是儒教国家
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by tianshu | 2006-07-24 00:56 | 名文からの一日一句

五木寛之の「他力」から

19,五木寛之の「他力」からーー

  「戦後、私たちはこの湿潤風土の中に合理的で乾いた文化を創り上げようと努力してきました。そして、実際に合理的で効率的な社会を作り上げ、そのために人間の心もカラカラに乾いてひび割れかかったような時代になってしまったようです。
  本来、日本人の根っこには人情や日本の情緒と言った湿ったエモーションがあります。
  ・・・・・・」
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by tianshu | 2006-07-10 14:46 | 名文からの一日一句

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16 岩野泡鳴(いわのほうめい) 「ぼんち」から

  ずんずん痛む頭を、組んで後ろへまわした両手でしっかり押さえて、大広間の床の間を枕にしているのは、ほんの、酔ったふりをよそおっているにすぎないので。

17 織田作之助 の「木の都」から

  大阪は木のない都だといわれているしかし私の幼児の記憶は不思議に木と結びついている
  ・・・・・・
  
18 葛西善三(かさいぜんぞう)の「椎の若葉」から

  六月半ば、梅雨晴れの午前の光を浴びている椎(しい)の若葉の趣を、有り難くしみじみと眺めやった。・・・・・・
  ・・・・・・ふと、下宿の二階の窓から、他家のお屋敷の庭の椎の木なんだが実に美しく生き生きとした感じの、光を求め、光を浴び、光に戯(たわむ)れているような若葉の趣は、自分の身の、殊にこのごろの弱り掛け間違いだらけの生き方と比べて何という相違だろう。
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by tianshu | 2006-06-15 00:40 | 名文からの一日一句

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15 生生流転(しょうじょうるてん)――岡本かの子

・・・・・・逃れて都を出ました。鉄道線路のガードの下を潜り橋を渡りました・・・・・
----从城里逃了出来。我从铁路的护栏下爬了过去,过了一座桥・・・・・・

 道は闇の中に一本筋西に通っております。両側は田圃(たんぼ)らしく泥の匂いに混じった青臭い匂いがします。蛙がしきりに鳴いております。フェルト草履の裏の土にあたる音を自分で聞きながら私は足に任せて歩いて行きました・・・・・・
----在黑暗中我看见一条大路笔直地指向西方。路两边好像是水田,可以闻到一股夹杂着青苗味的泥土气息。青蛙们在发疯似地鸣叫。我听着自己的草鞋落在地面上的声音,漫无目的而又马不停蹄地走着・・・・・・。
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by tianshu | 2006-05-11 23:21 | 名文からの一日一句

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13 萩原朔太郎(はぎわらわくたろう)の「猫町」からーー

  どこへ行ってみても、同じような人間ばかり住んでおり、同じような村や町やで、同じような単調な生活を繰り返している。田舎の何処の小さな町でも 商人は店先で算盤を弾(はじ)きながら、終日白っぽい往来を見て暮らしているし、官吏は役所の中でたばこを吸い、昼飯の菜のことなどを考えながら、来る日も来る日も同じように、あじけない単調な日を暮らしながら、次第に年老いていく人生を眺めている。・・・・・・

(1)、同じような人間ばかり住んでおり、同じような村や町やで、同じような単調な生活を繰り返している
-住的是同样的人,在同样的村子和城镇重复地过同样单调的生活
--(不管走到哪里,看到的都是)差不多一样的村庄和城镇,住着的是差不多一样的人,每个人都重复着差不多一样的单调无味的日子。

(2)終日白っぽい往来を見て暮らしているし
-整天看着有些发白的街道
--整天瞅着灰白色的街道打发日子?(往来--人们?)
(3)来る日も来る日も同じように
=日复一日同样地
--就这样日复一日,年复一年

(4)次第に年老いていく人生を眺めている
-看守着逐渐衰老的人生
--眼睁睁地送去似水年华迎来人老黄昏。


14 堀 辰雄の「馬車を待つ間」からーー

  「やあ綺麗だなあ・・・・・・」
  ほこりまみれの靴の紐(ひも)をほどきながら、ひょいと顔を上げた私は、そう思わずひとりごとを言った。
  崖(がけ)ばらに一かたまり、何の花だか、赤やら白やら咲き乱れているのが闇を透かしながらくっきりと見えたのである

① 爬满灰尘的鞋子/ 布满灰尘的鞋子/ 灰头土脸的鞋子/ 灰嘣嘣的鞋子(tianshu的家乡话)

② 稍微/ 稍稍

③ 开满了红色的白色的花儿/ 开着一簇簇红的白的花儿/ 红花白花开了满地

④ 透过黄昏的帷幕可以清楚地看见/ 透过傍晚昏暗的天色可以清楚地看见
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by tianshu | 2006-04-25 22:35 | 名文からの一日一句

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10、牧野信一の「父を売る子」から

  その晩も彼と父とは、酒を酌(く)み交わしながら呑気な雑談に耽(ふけ)っていた。晩春の宵(よい)で、静かな波の響きが、ちょっと話が途切れると、微かに聞こえた。


11、斎藤緑雨(りょくう)の「わたし舟」から
 
  そりゃあ船頭さん、お前さんには利ける口だが、私には利けない口だよ・・・・・・


12、鈴木三重吉(みえきち)の「天の岩屋」から

  雨照大神(あまてらすおおみかみ)は、そのたいそうな騒ぎの声をお聞きになると、何事が起こったのかとおぼしめして、岩の戸を細めにあけて、そっと覗いてご覧になりました。
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by tianshu | 2006-03-19 19:45 | 名文からの一日一句

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7,あくたがわりゅうのすけ之「鼻」から

  鼻はーーあの顎の下まで下がっていた鼻は、ほとんど嘘のように萎縮して、今は僅かに上唇の上で意気地なく残喘(ざんぜん)を保っている。所所まだらに赤くなっているのは、恐らく踏まれた時の痕であろう。

---萎缩得令人难以置信。
---无精打采地耷拉着。
---

8,黒岩涙香(るいこう)の「血の文字」から

  隣の室に中肉中背(ちゅうにくちゅうぜい)にて口髭を小綺麗(こぎれい)に剃りつけて容貌(ようぼう)にも別に癖の無き一人の下宿人あり、宿の者らこの人を目科(めしな)「様」とて特に「様」づけにして呼び、帳番も廊下にてすれ違うたびにこの人には帽子を脱ぎて挨拶するなど大いに持てなしぶりの違う所あるにぞ・・・・・・

9,夏目漱石の「それから」から

  誰か慌ただしく門前を駆けていく足音がした時、代助の頭の中には、大きな俎下駄が空から、ぶら下がっていた。
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by tianshu | 2006-03-07 22:24 | 名文からの一日一句

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5,国木田独歩(くにきだどっぽ)の「忘れぬ人々」から
  ・・・・・・昨日降った雪がまだ残っていて高低定まらぬ藁屋ねの南の軒先(のきさき)からは雨滴(あまだれ)が風に吹かれて舞うて落ちている。草鞋(わらじ)の足跡に溜まった泥水にすら寒そうな漣(さざなみ)が立っている。日が暮れるとまもなく大概(たいがい)の店は戸を閉めてしまった。・・・・・・

6、田中貢太郎の「旋風(せんぷう)時代」から

  明治四年三月のことであった。明治は翌五年に太陽歴を採用して、その十二月三日を六年の正月元旦としたので、この四年三月は太陰暦の四年三月であった。・・・・・・
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by tianshu | 2006-03-07 22:23 | 名文からの一日一句

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3,島崎藤村之「伸び支度(じたく)」から

  町の玩具屋から安物を買ってきてすぐに首の取れたもの、顔が汚れ鼻が欠けするうちにお化けのように気味悪くなって捨ててしまったものーー袖子の古い人形にもいろいろあった。

--袖子也拥有过各种各样的小偶人。那是些从镇上的玩具店里买来的便宜货,拿到手没几天脖子和头就分了家,再后来,脸也脏了,还缺鼻子少眼的,看起来活像妖怪,使人恶心。所以袖子把它们都扔了。

4,幸田露伴(こうだろはん)之「一口剣」から

  ・・・・・・極楽はここより遠からじと思わるる田舎に、さりとては村はずれの一軒家、柱よろけて屋根の藁大分黒く、しかも去年の冬は何として凌ぎしぞ、あら打ちの壁土(かべつち)あらかた崩れ落ちて・・・・・・

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by tianshu | 2006-03-04 17:24 | 名文からの一日一句